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ハチの干潟へ流れる賀茂川の最河口に、皆実橋という橋がある。
木の丸太の上にコンクリートを流し込んだもので、珍しい橋である。
夏になると、ハチの干潟から涼しい風が吹き抜け、橋の上は涼みに来る人で華やぐ。
また、春先には投網をする人たちが並ぶ。とてものどかな風景だ。
かつてはほとんどの川の橋が木でできていた。
しかし、鉄鋼やコンクリートに取って代わり、そのような面影もなくなってしまっている。
そんな面影を残す皆実橋も老朽化に伴い、架け替え工事が行われる。
鉄鋼の橋にするそうだ。手つかずの自然が残るハチの干潟が望める皆実橋。
せめてその皆実橋は、これまで通り木の丸太で掛け替えてほしい。かつての古き良き文化としてではなく、干潟とともに今に残るものであってほしい。悔いが残らないように、管轄する市の担当部長に要望を伝えた。設計は変えることができないが、手すりなどは配慮すると言ってくれた。変わりゆく流れの中で、地元に住まないものができる精一杯のことだった。
木の橋の対応年数は20年と短い。しかし、鉄鋼の橋の対応年数を聞くと25年だそうだ。それほど変わらない。私たちの世代は、木の橋すらめったと見ることができない。地元の人へもこの木の橋について、意見を投げかけた。しかし、「木の橋だったんか」と逆に問われた。地元の良いところを見つけて、ささやかながらよいものを残していかないといけないと思う。木の橋を良きものとして感じるのは僕くらいかもしれない。
しかし、愛着をもって毎日のように通っている、何気ない風景にも目を配ってほしい。それに、手つかずのハチの干潟に一番近い橋だからこそ、残しているんだという意気込みを感じたかった。小さな木の皆実橋とはこの春でお別れである。25年以内には、もうひとつ大きな橋がつくそうだ。